第398話 先輩、答えは出ましたか?

「それがどうしたの?」鈴木香織は少し落ち着かない様子で話題を変えた。

以前、鈴木香織は理系にそれほどこだわっていなかった。実は小さい頃、香織が一番苦手だったのは数学だった。しかし、あるきっかけで刺激を受けてから、まるで数学に対抗するかのように必死に取り組むようになり、高校で科目選択をする時も、理系を選ぶと固く決意し、他の選択肢は一切考えなかった。

香織は一つには意地があり、二つには、この言葉を支えに今日まで自信を持って頑張ってきたのだった。

香織は自分でそう考えていたので、この言葉で橋本奈奈を励まし、奈奈のような素晴らしい才能を無駄にしてほしくないと思った。

橋本奈奈は前髪をかきあげながら言った。「香織さん、一つ言いたいことがあるんだけど、言うべきかどうか迷っているの。言わないと、あなたが洗脳され続けて、偉人の言葉を歪めてしまうかもしれない。でも言ったら、あなたを傷つけてしまうかもしれない。すごく悩んでいるの。」