第380章 斎藤昇の一手

「お二人の家は本当に付き合いが長いのね。奈奈、あなたは白洲隆のお父さんを知っているの?」三浦玲子は驚いて尋ねた。以前、橋本奈奈が冗談を言っていたのか、あるいは白洲隆との関係を否定するための言い訳だと思っていたが、まさか本当だったとは。二つの家族の関係は本当に良好なのだった。

「そうよ」橋本奈奈はカバンを下ろして「寮に戻った?」

「戻ったわ」

「今日は河野雲見が一番早く戻って、天気が良かったから、私たちの布団を全部干してくれたの」

「河野さん、ありがとう」橋本奈奈は布団が干してあると聞いて、とても嬉しかった。寮の布団は一ヶ月も動かさずにいたので、干さないと寝心地が悪くなるところだった。

「いいのよ」河野雲見は気前よく笑った。「いつも助けてもらってばかりだから、珍しく私が役に立てて。同じ寮だし、今度私が遅く帰ってきたら、自主的に布団を干してね」