この小娘め、良心のかけらもないな。
「昨日投函したわ!」橋本奈奈は舌を出して言った。「斎藤お兄さん、私今高校生で、とても大事な時期なの。勉強が忙しくて、宿題も多いの。手紙を書くどころか、ゆっくり休む暇もないわ。昨日出した手紙だって、こっそり書いたものなの」こっそり書かなければ、見つかってしまうところだった。
「それだけか?」斎藤昇は信じられない様子で「最近、男に付きまとわれてないか?」
橋本奈奈は後ろに寄りかかって座った。「付きまとい?そうねぇ。他のことは覚えてないけど、今学期は、たくさんの人が私に図書館で『勉強』しないかって誘ってくるの」
「お前を狙ってるのか?」
「どうしてわかったの!」橋本奈奈は驚いた。たったそれだけの言葉で、斎藤お兄さんはわかってしまったの?