電話をかけてきた男性は、はっきりと「あなたたち」と言ったので、彼女の母親も含めていることは間違いなかった。
「付き添うわよ、もちろん付き添うわ。お母さんがあなたに付き添わなかったら、誰に付き添うの。平泉で勉強を続けられないのね、大丈夫よ、学校があるだけでいいの、それ以上に大切なことはないわ。あなた一人を外に行かせるなんて、お母さんは心配で仕方ないわ。たとえ勉強のためでも、お母さんは心配するものよ。」伊藤佳代の顔に笑顔が戻った。彼女は分かっていた。どれだけ言葉を重ねても事実は一つ、絵里子には学校があるということ。だから、平泉高校に行って騒ぎ立てる必要はもうないのだ。
「絵里子、お母さんはあなたを見る目を間違えていなかったわ。あなたは将来きっと成功するわ。付属高校でいつそんなに凄い友達を作ったの?どうしてお母さんに一度も話してくれなかったの?あなたの友達がそんなに凄いなら、どうして付属高校に残れるように手配してくれなかったの?学校があるのはもちろん一番いいことだけど、どこも付属高校ほど良くないわ。それに今度は学校も変わるのよ。」