この種の人は、家にお金が十分あるはずで、他人が使った布団や食器など、絶対に欲しがらないだろう。
みんな友達なのだから、こんなに無駄にするのもよくない。そんな時、彼女はきっとこれらの物を持ち帰り、全部捨てられるのを防ぐだろう。
「……」伊藤佳代の小さな算盤を知って、橋本絵里子はますます普段の橋本奈奈の気持ちが分かるようになった。しかし橋本奈奈が受けるどんな不公平な扱いも、橋本奈奈が受けるべきものだが、自分はそうではない。
橋本絵里子は何も言わずに、伊藤佳代の部屋に行き、布団と敷布団を抱えて出し、伊藤佳代に投げた。「畳んで、包んでおいて」
「……」小さな算盤が外れ、伊藤佳代は不機嫌になった。「絵里子、あれはただのあなたの友達で、あなたの夫じゃないのよ。なぜそんなに人のためにお金を節約するの?本当に幸せを楽しむ方法を知らないわね。古い布団が新しいものより良いわけ?たとえあなたの友達が将来あなたの夫になる機会があったとしても、絶対に男のためにお金を節約してはダメよ。好きなように使って、男を甘やかしてはいけないわ。私を見てごらん、あなたのお父さんは私に甘やかされてしまったのよ。男のお金は、使わなければ自分を粗末にすることになるわ」