026 二重スパイ、ゴミが好きなら贈ってあげる(2更)

「付き合って間もないのに、どうして彼と結婚する勇気があったの?狼の巣に入るのが怖くなかったの?」賀川野は運転している鐘见寧の方に首を傾げて尋ねた。

彼女はただ微笑んで、「少なくとも結婚してから今まで…」

「後悔したことはないわ」

賀川野は頭を抱えた。これは兄に洗脳されたのか?

何か言おうとした時、スマホが振動した。「愛する兄」という表示に、鐘见寧は横目で彼が急いで背筋を伸ばし、笑顔を浮かべて甘ったるい声で「お兄ちゃん~」と呼ぶのを見た。

彼女は思わず笑いそうになった。

なぜなら、その声があまりにもへつらいすぎていたから!

鐘见寧は車を路肩の一時停車場に停め、漢方薬店に入った。賀川野は彼女が降りたのを確認してから、媚びるように笑って「兄さん、びっくりした?意外だった?可愛い弟が来たよ!」

「普通に話せ!」

「おじいちゃんが来いって」

「他に何を言われた?」

「お嫂さんがどんな感じか見て、写真を撮ってくれって」

「撮ったのか?」

「うん」

「写真を送れ」

「……」

「おじいちゃんに報告する時は言葉に気をつけろ。新しい指示があったら、すぐに俺に言え」

賀川野は再び警告を受け、大魔王がようやく電話を切ると、ほっと息をついた。

鐘见寧が買い物を終えて戻って来た時、彼にアイスクリームも買ってきてくれた。賀川野は驚いて彼女を見つめ、お礼を言って受け取り、食べながら心の中で呟いた:

やっぱり僕に取り入ろうとしているんだ!

鐘见寧は単に彼がまだ若いのに大人ぶっているのが可愛らしいと思っただけで、それに賀川礼の弟なのだから面倒を見るのは当然と考え、青水市で一番のショッピングモールに連れて行った。

賀川野の服を買い終わった後、二人はオーダーメイドスーツの店の前を通りかかった。

賀川礼が自分にプレゼントをくれたので、お返しをしなければと思った。

賀川野は買い物が好きではなかったので、店には入らず、外で適当な場所に座って、おじいちゃんに偵察の進捗を報告することにした。

大変だ。元々は情報収集だけの任務だったのに、どうして二重スパイになってしまったんだろう。

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