035 寧ちゃんの反撃:汚くて下品(2)

「くっ——」高槻柏宇は踏まれて、苦しそうに呻いた。

「柏宇兄、ごめんなさい!わざとじゃないの!」鐘見月は慌てて謝った。「お姉さんが来たの」

「見たよ」

高槻柏宇はまともに見ることさえできなかった。

なぜなら、今の彼女は、あまりにも美しすぎたから。

この数日間、彼は賀川礼が彼女と遊んでいるだけだと思っていた。

いつか、彼女を捨てるだろうと。

そうすれば、自分にもチャンスがあるかもしれないと。

今見ると、賀川礼は彼女を大切にしているようだった。

今の彼女は、全身が光を放っているかのように、自信に満ち溢れ、落ち着いていた。

彼の視線は思わず彼女を追っていた。

鐘見肇夫妻は会場の注目が奪われたのを見て、焦りと怒りを感じた。

「早く行って、あの生意気な娘を隅に連れて行け」鐘見肇は声を押し殺して妻に言った。「よりによってこんな日を選んで、あんな格好で来るなんて、明らかに目立とうとしているんだ!」