058 賀川さん、あなたを甘やかしているの(2話)

鐘見肇は賀川礼もいるとは思わず、一瞬固まってしまった。

「どうして黙っているんだ?」

「賀、賀川さん……」鐘見肇は勢いよく罵っていたが、彼の声を聞いた途端に言葉を失った。「これは私と寧親子の間の私事です。あなたが介入するのは適切ではありません」

「しかし、この金は私が出すことになる。私には問う権利がないのか?」

「もちろん、お尋ねになる権利はあります」

「金が欲しいなら、直接私に言え」

賀川礼はそう言って電話を切った。

鐘见寧は元々賀川礼に迷惑をかけたくなかった。五千万は彼にとって大した額ではないかもしれないが、彼女は一生かかってもそれだけの金額を稼ぐことはできず、返済することもできない。

彼への借りは、ますます増えていくばかりだ。

彼女は弁護士に計算してもらったことがある。訴訟となれば、鐘見肇夫妻にある程度の金額を支払う必要がある。確かにこの数年間、彼らは自分にお金を使ってきたのだから。