賀川礼は話しながら、彼女のためにコップに水を注いでいた。
鐘见寧は体を起こし、水を数口飲んで、目線は定まらないまま彼の首筋に落ちていた。
昨夜の……
夢じゃなかったの!
もうダメだ、鐘见寧、あなた一体何をしたの!
全部賀川野のせいよ、寝る前にあんなことを言うから。
「どうした?目が覚めたら、知らないふりをするつもり?」賀川礼は彼女の心を見透かしたかのように、じっと彼女を見つめた。
「昨夜はぼんやりしていて、夢だと思ってたの……」
「夢の中では、随分と大胆だったな」
「……」
鐘见寧はもう水が飲めなくなった。
賀川礼は昨夜仕事を終えて部屋に戻った時、すでに1時過ぎで、鐘见寧が気持ちよさそうに眠っているのを見て、ただキスだけするつもりだったのに、思いがけず鐘见寧が積極的になった。
彼は心の中で喜んでいた。
そして、キスをしているうちに……
彼女に噛まれてしまった。
その後、彼女は彼の胸に寄りかかって眠ってしまい、賀川礼は彼女に体中を熱くされたまま。
その後、立ち上がってシャワーを浴びた。
戻ってきて、再び鐘见寧を抱きしめると、彼女の体が熱いことに気付いた。
最初はキスのせいで体温が普段より高くなったのだと思っていたが、まだそんなに熱いので、賀川礼はようやくおかしいと気付き、体温計を取り出すと38度以上あった。解熱シートを貼ったが、あまり効果がなかった。
午前2時過ぎで、往診を頼むには遅すぎた。
そこで車で直接病院に連れて行った。
朝の5時過ぎになってようやく熱が下がり、賀川礼は一晩中付き添っていた。
気まずい雰囲気の中、誰かがそっとドアをノックし、賀川野が顔を覗かせた。「お嫂さん、起きたの?まだ休んでるかと思ってた。朝ご飯買ってきたよ」
「ありがとう」
「今朝知ったんだけど、昨夜熱出したんだって?どうしたの?急に」
鐘见寧は原因を考えていた。昨日ダンスの練習が終わって、汗をかいたまま急いで外に出て、車のエアコンで冷やされ、汗が完全に乾いて、帰ってきてシャワーを浴びた時の水は冷たく、寝る前に冷たいココナッツウォーターを飲んだ。
高熱の原因はたくさんあり得る。
「お粥と蒸し餃子と副菜を買ってきたよ」
賀川野は話しながら、お粥の一つと袋を賀川礼に渡した。
「兄さん、頼まれた服も持ってきたよ」