鐘见寧はベッドの端に座り、うつむいていると、視界に一足が現れ、顔を上げると、賀川礼が目の前に立っていることに気づいた。
「膝をぶつけたのか?」賀川礼は彼女を見つめた。
「大丈夫です、ちょっとぶつけただけ。」
「見せてみろ。」
そう言いながら、賀川礼は片膝をついて彼女の前にしゃがみ、左脚を握り、ズボンの裾をまくり上げた。鐘见寧は手を伸ばして止めようとしたが、阻止された。
「ここは俺の実家だ。」賀川礼は頭を下げ、低い声で言った。
「でも今は二人きりですよ。」
愛情表現をするなら、人前でするべきでしょう。
ここには他の人はいないのに。
「壁に耳あり、だ。」
「……」
鐘见寧は唇を噛んだ。賀川家の実家は防音が悪いのか?
賀川礼は今日も冷水シャワーを浴びたようで、指が冷たく、ぶつけた膝に触れると、涼しくて心地よかった。
ただし、彼女の角度からは、彼のすっきりとした横顔のラインがはっきりと見え、喉仏や鎖骨に水滴が伝い、さらに深く、深く流れ落ちていく……
目が熱くなり、じっと見つめることができなかった。
「痛いのか?」賀川礼は顔を上げて彼女を見た。
「ま、まあまあです。」
「じゃあ、なぜ顔が赤いんだ?」
「赤くなってますか?」
「なぜ俺を見られないんだ?」賀川礼は賢く、彼女が何から逃げているのかすぐに察した。
「見られないなんてことないです。」鐘见寧は強がった。
「恥ずかしいのか?」
「今どき、見慣れてますよ。特にダンスの時なんか、男性バレエダンサーは体にぴったりした衣装で、あなたより体格のいい人もいっぱい見てきましたから……」
鐘见寧が強がり続けていると、賀川礼は突然立ち上がり、両手でベッドを支え、彼女を自分の体とベッドの間に閉じ込めた。
鐘见寧の目の前には彼の裸の上半身があった。
逃げられない。
視線を下げると、腹部を越えて、さらに下へ行くと、もっと大変なことになる。
彼女の顔は、どんどん赤くなっていき、
血が滴り落ちそうなほど真っ赤になった。
「言ってみろ、俺より体格のいい男を一体何人見てきたんだ?」賀川礼の声はゆっくりとしていたが、体はどんどん近づいてきているようだった。
ついに、くっつきそうになるまで……
彼の強い気配が漂い、鐘见寧は頭皮がぞわぞわした。