071 賀川さんも普通の男性だ

エレベーターがゆっくりと上昇する中、鐘見月は彼女を横目で見た。鐘见寧は背が高く脚が長く、ダンスのおかげで立ち姿も背筋がピンと伸びていて、気品が抜群だった。

彼女のような人は、ぼろ布を纏っていても美しく見える。

「コホン」鐘見月が咳をした。顔の整形した部分が炎症を起こし、腫れが引いた後は見た目は悪くなかった。

鐘见寧は完全に無視した。

「お兄さん、このエレベーターの中、何か臭くない?」

「え?」藤田瑞贵は戸惑った。「どこが臭いの?あなたの香水の匂いじゃない?」

鐘見月は彼を睨みつけた。「香水なんかじゃないわ、あれは妖狐の匂いよ」

藤田瑞贵は呆然とした。

鐘見月は軽く鼻を鳴らした。「ある人は清楚ぶってるけど、男を誘惑する手口は上手いものね。高槻柏宇は以前から彼女の尻を追いかけ回してたし、今度は賀川さんよ」