069 彼女は大胆で、人を誘惑する

夕暮れ時、賀川礼はベッドに横たわる鐘见寧を見つめた。

彼女の唇は熱で血の気を失い、夕陽の光が部屋に差し込み、病室全体が巨大なオレンジジュースに浸かっているようだった。

何かが泡立ちながら湧き上がるように、心が乱れた。

賀川礼は立ち上がり、カーテンを引いた。わずかな隙間だけを残し、ドアの小窓が遮られると、部屋は隙間から漏れる陽光以外に光がなくなった。

彼はお湯を用意し、着替えは佐藤ママが準備したものだった。

パジャマの他に、下着も当然あった。

賀川礼の瞳が沈んだ。

「寧ちゃん」

彼が低い声で彼女の名を呼ぶと、鐘见寧はただ小さく呟いた。

彼は少し躊躇してから、手を伸ばして彼女のパジャマのボタンを外した。

襟元が少し開き、下着の縁が見えた。

白い肌と黒い下着。

色の強烈なコントラスト。

そのとき彼女は特に弱々しく、人の心を揺さぶるような姿だった。

純粋さと色気が同居していた。

彼の喉仏が上下に動いた。

鐘见寧もそれに合わせて目を開け、胸元の涼しさを感じ、眉をしかめながら、喉が乾いて締め付けられるように言った。「何をしているの?」

「着替えを手伝って、体を拭こうと思って」

「……」

鐘见寧は熱で朦朧としていたが、感覚も意識もなくなっているわけではなかった。「野は?」

「外にいる」

賀川野はまだ帰っていないかもしれない。彼女は常に、彼らが夫婦であることを意識していた。

同じベッドで寝始めた時から、覚悟はできていた。

契約に署名したからには、あれもこれもというわけにはいかない。重要なのは、彼女が賀川礼の親密さを拒絶していないということだった。

それに、体がべたついて気持ち悪かった。

「ご迷惑をおかけします」

室内は薄暗く、彼の影が彼女を覆い、指が彼女の背中の蝶骨に触れた。

彼の指先は熱く、彼女の体を緊張させた。

鐘见寧は小さく二度うめき、体がまた熱くなるのを感じた。

子猫のような声。

甘くて柔らかい声。

彼女は体が弱っており、そのまま彼の肩に寄りかかり、薄い下着一枚だけを身につけ、息遣いが彼の首筋に不規則に当たっていた。

賀川礼は体を強張らせ、指が彼女の背中をさまよいながら、なかなか外せないでいた。

耐え難く、

彼の喉仏が再び動き、鐘见寧は思わずそれに触れた。