賀川礼がキッチンに入ると、鐘见寧も手伝いに入った。鐘見曜は心理的な障壁があり、特に見知らぬ環境では不安になりやすく、本能的に薬を飲んで和らげたいと思った。
「お前も19歳だって?」賀川野は首を傾げて彼を見た。
「うん」
「じゃあ同い年だな。何月生まれ?」
「10月」
「俺は5月だから年上だ。兄さんって呼んでいいぞ」
「……」
鐘見曜はそうしたくなかった。
しかし賀川野はおしゃべりで、特に最近は兄の家で同年代の人がいなくて、退屈で死にそうだった。
鐘見曜はますます不安になっていったが、彼が「兄貴のことは信じるなよ。ただのオオカミで、すごく悪い奴なんだ」と言うのを聞いた。
「君も彼が悪いと思う?」鐘見曜は振り向いて彼を見た。
視線が交わり、
お互い同志だと確信した。
「言っとくけど、兄貴は見かけだけいいだけで、実は腹黒いんだ。高校の時に兄貴の家に住んでたけど、まさに人生の悪夢だったよ」
「お嫂さんだけが我慢できるんだよな。まだ良い人だって言うし、本当に参るよ」
鐘见寧は鐘見曜が見知らぬ人との接触を好まないことを知っていたので、賀川野が熱心すぎて彼が居心地悪くならないか心配で、リビングを見に行った。
すると、賀川野はすでに彼の首に腕を回し、兄弟のように親しくしていた。
鐘見曜の表情は不自然だったが、彼を拒絶はしなかった。
「曜、暇があったら帝都に遊びに来いよ。俺が面倒見てやるから」賀川野は胸を叩いた。
鐘見曜は小さく笑った。「君に何ができるの?」
「俺はダメでも、兄貴はすごいだろ?それに父さんも、叔父さんたちも、従兄弟も……」彼は典型的な虎の威を借る狐で、特に得意げに、誇らしげだった。
「彼らはみんなそんなに優秀なのに、プレッシャーを感じないの?誰かに彼らに及ばない、出来が悪いって言われたりしない?」
「今の世の中、出来が悪くても問題ない。生きてるだけでいいんだよ」
「……」鐘見曜はこんな考え方を初めて聞いた。
「人生サボらなきゃ、楽しみも半分」
「自分の将来について、少しも計画がないの?」
鐘見曜は小さい頃から、勤勉で努力しなければならない、成功しない者はクズだと教え込まれていた。
賀川野はゲームを続けながら、「その時その時で考えればいい。どうしようもなくなったら途中で死ねばいい」
鐘見曜は呆然とした。