鐘見曜は元々肌が白かったが、この時は驚きのあまり血の気が引き、夕陽の血のような光だけが彼の顔に照り、悲壮感漂う寂寥感があった。
お義姉さん?
賀川野のその呼び方は、あまりにも自然だった。
明らかに初めてではない。
最近では恋人同士で旦那や奥さんと呼び合うのは普通だが、賀川家のような家庭では、賀川野がどんなに軽率でも、むやみに人を義姉さんと呼んだりはしない。特に両親がいる場面では。
もし口を滑らせたら、年配の人たちはそういうことを気にする。
まさか……
姉が賀川礼と結婚したのか?
そんなはずはないだろう、と彼は首を振って、頭に浮かんだその考えを振り払おうとした。
「どうしたの?なぜ入らないの?」賀川野はすでにスリッパを取って彼に渡していた。
彼を見つめ、この小僧は何か企んでいるのか?
「何でもない」
鐘見曜が家に入るその数秒の間に、頭の中では無数の思いが駆け巡っていた。
「適当に座って、遠慮しないで」賀川野は人情味のある人だった。「お義姉さんはダンスの練習中だから、呼んでくる」
彼は思った。鐘見曜は兄のライバルだが、兄と義姉は既に入籍しているし、義姉も彼のことは好きじゃないから、男の小三になろうとしても無理だ。
それに、この鐘見曜は特に容姿に優れているわけでもない……
男の小三になる素質はない。
佐藤ママが鐘見曜に飲み物を出したが、彼の目は窓際の石組みの水景に引き寄せられた。小魚が数匹泳ぎ、ライチの香りのお香が焚かれていた。
これは姉が作ったに違いない。
実家にいた時は、趣味としてでさえ、両親は彼女に時間を無駄にすることを許さなかった。
そして彼らの家では、生き物を飼うことは一度もなかった。彼が小さい頃、アヒルやウサギ、猫を買ったことがあったが……最後は必ず不思議と死んでしまった。
最初は自分の世話が悪かったのだと思い、とても自責の念に駆られた。
徐々に気付いたのは、両親が飼わせたくなかったのだということだった。
彼がぼんやりしていると、賀川礼は既にキッチンから手を洗って出てきており、目が合った瞬間、初めてこんなに近距離で接し、元々オーラの強い彼は、背も高く人を圧倒し、鐘見曜を理由もなく緊張させた。
「賀川さん」彼は丁寧に言った。
「何か興味を引くものでも見つけましたか?」
「この線香が……」