鐘见寧と賀川礼が京都に着いたのが遅かったため、食事を終えたのは夜の十時過ぎで、お婆さまは少し眠くなっていたが、賀川様はどこからそんな元気が出てきたのか、月見に行きたいと言い出した。
賀川家旧邸のあたりには高層ビルがなく、視界が開けていた。
星河は広大で、月の光は柔らかく溶け込んでいた。
ただ、秋の夜は風が冷たく、鐘见寧は薄着だったため寒く感じ、中庭に十数分立っていただけで部屋に戻った。
賀川礼は老人に引き止められて話をしていた。
「青水市の孤児院の件は、どういう状況なんだ?」具体的な状況は賀川様にはわからなかった。「院長が横領?」
賀川礼は状況を簡単に説明すると、老人も義憤に駆られた。
「あの子はさぞ辛かっただろうな。」
「だから、お爺様、彼女を怖がらせないでください。」