鐘见寧と賀川礼が京都に着いたのが遅かったため、食事を終えたのは夜の十時過ぎで、お婆さまは少し眠くなっていたが、賀川様はどこからそんな元気が出てきたのか、月見に行きたいと言い出した。
賀川家旧邸のあたりには高層ビルがなく、視界が開けていた。
星河は広大で、月の光は柔らかく溶け込んでいた。
ただ、秋の夜は風が冷たく、鐘见寧は薄着だったため寒く感じ、中庭に十数分立っていただけで部屋に戻った。
賀川礼は老人に引き止められて話をしていた。
「青水市の孤児院の件は、どういう状況なんだ?」具体的な状況は賀川様にはわからなかった。「院長が横領?」
賀川礼は状況を簡単に説明すると、老人も義憤に駆られた。
「あの子はさぞ辛かっただろうな。」
「だから、お爺様、彼女を怖がらせないでください。」
「私が...」賀川様は眉をひそめた。「私がいつ彼女を怖がらせた?」
「彼女があなたを怖がっているのがわからないんですか?」
「私のせいか?」老人は軽く鼻を鳴らした。「私はこういう顔つきに生まれついたんだ。」
老人は鼻を鳴らしながら、「あの子が、私に怖がられたと言ったのか?」
「お爺様と呼んだときに、あなたの表情が変わらなかったので、嫌われたと思ったんです。」
賀川様は咳払いをして、「まあ、そうでもないだろう...お前たちは既に入籍しているんだから、お爺様と呼ぶのは当然だ。あの子への贈り物を用意してあるんだが、さっきは渡す機会がなかった。後で渡してやってくれ。」
前回は皆がプレゼントを贈ったのに、彼だけ渡していなかったので、特別扱いされているように感じていた。
「何を用意されたんですか?」
「お金だ!」
賀川様は色々考えた末、やはりお金が一番心のこもった贈り物だと思った。
彼のような老人には、若い女の子が何を好むのかわからなかったのだ。
——
賀川礼が部屋に戻ったとき、カードを一枚渡すと、鐘见寧は既にお風呂を済ませていたが、なぜか眠くならず、「野から聞いたんだけど、凌介さんがハムスターを飼っているって?」と尋ねた。
「見たい?」
「私、小動物を飼ったことがないの。」
可愛らしくて愛らしい小さな生き物を好きにならない人はいないが、鐘見家では飼うことが許されなかった。
「ちょっと待って。」
賀川礼は部屋を出て、賀川凌介の寝室をノックした。