部屋の中は気まずい雰囲気が漂い、鐘见寧が隣の江口蕴の方を見るまで続いた。「お姉さんはまだ来ていないの?」
「あの子ったら……」江口蕴は無奈気に、「今メッセージを送ったけど、返事がないわ」
「忙しいのよ。もう3、4日も会っていないわ。あなたと礼に会うためじゃなければ、顔も見せないでしょうね」
文句を言いながらも、江口蕴は娘の話をする時、口元に笑みを浮かべていた。
「仕事が忙しいのは当然ですね。どんなお仕事をされているんですか?」
「自分で小さな会社を立ち上げたの。毎日忙しくて姿も見えないわ。何をしているのかも分からないくらい。朝早く出て夜遅く帰って、なんだか神秘的よ」
「それは素晴らしいですね」
岸許豊令は二人が盛り上がって話すのを見て、眉をひそめた。
「女の子が何の会社だ」