個室の中
賀川礼の表情からは何の感情も読み取れなかったが、鐘见寧は彼がかなりイライラしているのを明確に感じ取った。
テーブルの下で、彼の手を軽く握った。
彼の気持ちは少し和らぎ、手首を返して、二人の手のひらがぴったりと重なった。
「鐘見さん」岸許豊令は話題を変え、彼女を見つめながら、「ダンサーだと聞きましたが?どこの名門校を卒業されたんですか?」
賀川礼の瞳の色が暗くなった。
鐘见寧は口元に軽い笑みを浮かべ、「普通の学校です。孔田お嬢さまのような優秀さには及びません。美しくて、センスもあって、裕福な家庭の出身なのが分かります。本当に羨ましいです」
孔田美渺は思わず背筋を伸ばした。
「当然でしょう。私たち二家は代々の付き合いですからね」
岸許豊令は鐘见寧を横目で見ながら言った。分別のある子のように見える。