賀川礼と鐘见寧が岸許家に着いた時には、もう昼時に近く、江口晗奈は当然二人を昼食に誘った。
「食事?何を食べるの?」賀川礼はキッチンを一瞥し、冷たいコンロと鍋を見た。
江口晗奈は本来食事をする気分ではなかったので、メイドに準備させていなかった。
彼女は携帯を指差して、「デリバリーを頼む?」
「……」
「いい和食寿司屋があるわ。ちょうど寧にも味わってもらえるわね」江口晗奈は鐘见寧をソファに座らせてデリバリーを注文しながら、彼女の襟元に隠れた赤い痕を見つけ、目が一瞬輝いた。
そして従弟を見た。
普段は禁欲的で冷たそうに見えるのに、
プライベートではなかなかやるじゃない。
「叔母さんは家にいないの?」賀川礼は江口蕴の姿が見えないことに気づいた。
江口晗奈はうんと答えた。「私が彼女のためにジュエリーをオーダーメイドしたの。試着が必要だって言って。盛装して行かないと雰囲気が出ないからって。最初は行きたがらなかったけど、盛山家でオーダーメイドだって聞いて、やっと行く気になったの」