158 岸許家大婆様、威厳を放つ(2更)

皆がリビングに向かい、江口蕴は特に果物を洗って切り、大婆様の大好きなお茶菓子も買っていたが、テーブルに並べたとたん、結城梦乃の思う壺に嵌ってしまった。

彼女がお腹が空いたと言ったからだ。

「すみません、今とても食べたくて。お構いなく食べてもいいですか?」結城梦乃は江口蕴を見て笑った。

その言葉には挑発的な意味が込められていた。

江口蕴は黙っていた。大婆様が特別に招待した客なのだから、歯を食いしばって我慢するしかなかった。

すると彼女はオレンジを少し食べただけで、妊娠つわりのような演技を始めた。

「美味しくない?」岸許豊令が気遣わしげに聞いた。

「ちょっと酸っぱいわ」

「じゃあ、リンゴはどう?」

「そうね」

「私が剥いてあげる」

他の人々は「……」

江口晗奈は目を天に向けて白目を剥いた。