鐘见寧は気持ちを落ち着かせて、「姉さん、病室まで一緒に戻りましょう」と言った。
江口晗奈は頷いた。
二人は道中無言で、雰囲気は極限まで重苦しかった。木村海も尋ねる勇気がなかった。もし亡くなった奥様の自殺が岸許豊令と関係があるのなら、大変なことになるだろう。
賀川家の皆は、この奥様とはとても仲が良かった。
特に……
賀川家の末っ子。
彼は自分の兄とそれほど年が離れていなかった。岸許玲伊が嫁いできた時、彼はやっと歩けるようになったばかりで、年老いてからの子供だったため、お婆様はその時体調を崩していた。家には乳母や家政婦がいたものの、やはり岸許玲伊が面倒を見ることが多かった。
いわゆる兄嫁は母のようなものだが、この末っ子は彼女に対して並々ならぬ感情を持っていた。
結局、物心がついた頃からほとんど彼女に育てられたのだから。