樱庭司真はしばらく携帯を見ていた。盛山家は最近、帝都圏で最も話題になっている焦点だった。
【盛山家は最近、賀川家と親密になってきているようだね。】
【本当だね。最近、盛山誠章夫妻が賀川家に出入りしているのをよく見かけるらしい。不思議なことに、この二家は普段まったく付き合いがなかったのに、急に親密になってきている。】
【私が気になるのは、盛山若社長と賀川家末叔父がどうやって和解したのかということ。】
……
しかしすぐに、盛山家が旧邸の改修を始め、賀川洵が現場を監督しに来ていたことで、みんな納得した。
盛山家は賀川洵にデザインを依頼したのだろう。
なるほど、だから二家が親密になったわけだ。
旧邸の改修は小さな事ではない。盛山誠章夫妻が直接関わるのも当然だ。
賀川礼はその日、会社の仕事を終えた深夜、賀川洵の書斎の前を通りかかった時、ドアの隙間から明かりが漏れているのに気付いた。ノックして入ると、机の上には盛山家旧邸の平面図が広げられていた。