231 見覚えがある、彼女こそが元凶（2更）

男は彼女に微笑んで言った。「ご忠告ありがとう」

鐘见寧は淡々と微笑むだけだった。

この男から受ける印象が、なぜか…

どこか見覚えがある。

でも彼女ははっきりと覚えている。こんな人物とは面識がないはずだ。特に彼の顔の傷跡なんて、一度でも見たことがあれば、必ず記憶に残っているはずだ。

藤崎朗真は立ち去る気配もなく、彼女の足を見て「足を怪我されたんですか？」と尋ねた。

「はい」

ここは患者が多く、お互いの症状について話し合うのは日常的なことだった。

「私の手は、何年も前に怪我をして、物を持つときなんかよく震えるんです」藤崎朗真は袖をまくり上げながら、鐘见寧に見せた。

彼の手首には手術の跡が残っていて、おそらく何度も手術を受けたのだろう。

「でもリハビリをしても、あまり効果がなくて、二日ほど楽になるだけで、また数日経つと手が震え出すんです」藤崎朗真は自然な口調で話した。