275 手強い盛山家叔母ちゃん、どこの義兄だよ(3/3)

賀川礼を狙ったの?

そう考えると、確かに筋が通る。

今回のイベントは盛山誠章夫婦が主催したものだから。

賀川礼の奥様が事件に巻き込まれ、賀川家が責任を追及すれば、警備体制の不備を責められるだろう。

そうなれば、盛山漱花が最大の受益者となる。

盛山家の暗闘が、ついに表立った争いに発展したのか?

盛山心結はその言葉を聞いて慌てた。「叔父さん、私は賀川家を狙ったわけじゃありません」

「じゃあ私を狙ったということか。これは私と叔母さんが京都に戻ってから初めてのイベントだぞ。こんなことになって、お前は嬉しいのか?」

「違います、そんなつもりじゃ...」

盛山心結はただ胸に怒りを溜め込んでいた。鐘见寧が大勢に囲まれているのが気に入らず、彼女を困らせたかっただけだった。

叔父さんを狙うなんて、とてもできない。

「叔父さん、説明させてください。本当にイベントを台無しにするつもりはありませんでした」

盛山誠章は冷ややかに鼻を鳴らした。「じゃあ賀川さんを狙ったということだな」

「私は...」

ここまで来ると、誰の目にも明らかだった。

鐘見肇を連れてきたのは盛山心結だ。

それなのに彼女は傍観者のように様子を見ていた。

明らかに鐘见寧を狙ったものだった。

二人には争いもなく、昨夜まで和やかに話していたのに、一体どこで賀川さんが盛山心結の逆鱗に触れたというのか。

盛山心結は自分の思惑を見透かされ、周囲の嘲笑の声を聞いて、目に涙を浮かべながら、叔母さんに助けを求めようと視線を向けた。

叔母さんは優しい性格だから。

しかし湯川千秋は直接鐘见寧の側に行き、優しく尋ねた。「大丈夫?」

鐘见寧は首を振った。

「申し訳ありません。驚かせてしまって。警備の不手際で、ろくでもない者を入れてしまいました」

「大丈夫です」

盛山心結は悔しさで足を踏み鳴らした。今日のことは、どう説明しても無駄だった。

叔父さん一家は明らかに彼女を信じていない。

彼女はただ鐘见寧の失態を見たかっただけなのに。

なぜ最後には自分が笑い者になってしまったのか。

そしてその時、母が急いで近づいてくるのが見えた。慌てて駆け寄る。

涙を目に溜めて、とても悔しそうに。

「お母さん—」

盛山漱花は兄夫婦の表情を見て、おおよその状況を察した。

この馬鹿者!