盛山家の双老が今日訪ねた旧友というのは、秋月家の者だった。
「お父さん、お母さん」湯川千秋は立ち上がり、盛山庭川も爺ちゃん婆ちゃんと呼びかけた。
賀川礼と賀川洵は身分相応の呼び方で双老に挨拶した。
鐘见寧だけが、数秒間呆然としてから「盛山爺ちゃん、盛山婆ちゃん」と言った。
盛山爺ちゃん?
老人の眉がかすかに寄った。前の敬称を省いた方がよかったのに。
盛山心結は幼い頃から外祖父を恐れていて、彼の怒鳴り声に魂が飛び出すほど怯えていた。周りの人の表情の変化を観察する余裕などなかった。
「どうした?口が利けなくなったのか。私に会って、一言の挨拶もないのか?」老人は床に座っている孫娘を横目で見た。
目には怒りと失望が満ちていた。
「お、お祖父様」盛山心結は舌がもつれたように、震える声で言った。