292 盛山家から追い出され、お嬢様ではなくなる(5)

業界では、鐘见寧がネットで線香を製造販売していることは周知の事実で、盛山心結がそれを知るのは容易なことだった。

「おばあちゃん、どうして?」盛山心結は信じられない様子で尋ねた。

「あなたがいじめられていると聞いて、本当に理不尽なことなら、私たちも黙ってはいられないと思って、その前に私が彼女と二度ほど会ってみたの。でも、あなたの話とは随分違うように感じたから、もう一度あなたを試してみようと思って...結果は...」

「陰険なのは、あなただったのね!」

老婦人は落ち着いた口調で言った。

鐘见寧は呆然としていた。つまり、すべては仕組まれていたということ?

老夫婦が彼女から線香を購入し始めた時から、盛山心結を試すつもりだったということ?

「私は彼女のことを一言も言っていないのに、ただ彼女の商品を使っただけで、こんなにも悪意を向けられるなんて。盛山心結、あなたはいつからこんな人間になってしまったの」

「おばあちゃん、違うの!私はただ彼女のことが妬ましくて...全部従兄のせいよ!」盛山心結は突然、盛山庭川を指差した。

盛山庭川は呆気に取られた:

この馬鹿!

自分がバカなのに、何で俺に責任転嫁してくる!

「従兄は私のことなんて冷たくあしらうくせに、彼女にはすごく優しくて、みんな彼女の周りに集まってきて、私は本当に妬ましくて、それで一時の過ちを...!」

「今になって、まだ過ちという言葉で自分の罪を隠そうというのか?」老人は怒りで顔を青くした。

「それに、従兄が彼女に優しいなら、なぜ従兄に文句を言わないんだ?」

秋月策人:「柿は柔らかいところから食べるってやつですよ」

「うちの義姉さんが美人で優しくて、ダンスも上手で、線香も作れるのが妬ましいんでしょ。あなたとは違って。大学だって、お母さんが校舎一棟寄付したから入れただけじゃない」

「盛山若社長があなたを好きにならないのは当然。自分を反省せずに人を陥れようとする」

「本当に腐っている」

「盛山若社長のせいにするなんて、あなたの悪事は全部彼に強要されたとでも?」

「母が私にあなたとの見合いを勧めてきたけど、好きにならなくて良かった」

この言葉は、まさに心臓を一突きにする痛さだった。

盛山心結は歯を食いしばった:「あなたなんか私が好きになるわけないでしょ!」

「黙りなさい!」