新店がオープンし、鐘见寧は忙しさに追われ、最後のお客様を見送るまで休む暇もなかった。
藤崎芮伊は店長に抜擢され、本日の取引量と在庫を確認しながら、贈り物をくださったお客様のリストを整理していた。贈り物には返礼が必要だからだ。
「寧姉、賀川さんと夜にお食事の約束があるんじゃないですか?先に行かれてください。残りは私がやっておきます」芮伊は今日の売上を見ながら、笑顔がこぼれっぱなしだった。
「急がないわ」
その時、ドアに掛けられたベルが鳴り、芮伊は笑顔で顔を上げた。「申し訳ございません。本日は営業を終了しております」
「わかっています」
鐘见寧はその声を聞いて顔を上げた。
なんと盛山漱花だった。
彼女は花束を抱え、贈り物も持っていた。笑顔は穏やかだったが、目元には明らかな疲れが見えて、以前のような気位の高さは感じられなかった。
「芮伊、お茶を入れてくれる?」鐘见寧は盛山漱花に脇の席に座るよう促した。
お茶を入れている間、盛山漱花は彼女を改めて観察した。
室内は暖かく、彼女は蓮の色の中国風の上着を着て、首には南紅の白玉のネックレスをしていた。色合いは優しく、髪は緩くまとめられ、優雅で品があった。
「賀川さん、新店オープンおめでとうございます。ご繁盛を」
「ありがとうございます」
「前回の本邸での件は、私が軽率でした。改めて謝罪させていただきたくて。心結が逮捕されたのも、自業自得です」盛山漱花はお茶を飲みながら、ずっと彼女を見つめていた。「普段は仕事が忙しくて、躾が行き届いていませんでした」
「もう過ぎたことです」鐘见寧は淡々と言った。
盛山漱花は気位が高く、以前は鐘见寧を見下していたため、じっくりと観察したことはなかった。
今よく見ると、
ますます「亡くなった」姪によく似ていると感じた。
ただし鐘见寧は痩せ型で、姪のようなふっくらとした愛らしさはなかった。
盛山漱花は香札も購入してから帰った。拘置所に着くと、盛山心結は母親のバッグの横にある包装袋を見て、まるで狂ったように「ママ、あの人の店また開店したの?」
「ええ」
「ママまで行ったの?」
盛山漱花は頷いた。
「ママ、どうして?私がこんな目に遭ったのは全部あの人のせいなのに。あの人がいなければ、私なんて拘置所に入れられるはずないのに!」