325 賀川家の狼の巣に落ちて、針のむしろに座るよう

書斎にて

賀川大爺様が先に入り、箱を引っ掻き回して、奥底から鞭、戒尺、木の棒を取り出し、不肖の息子に目に物を見せてやろうと待ち構えていた。

父親としての威厳を取り戻すために。

そしてこの時、書斎から数メートルも離れていない廊下で、菅野望月は二人の握り合う手に視線を落とし、心臓が激しく鼓動していた。

なぜこんなことになってしまったのだろう?

ぼんやりと。

「これから中に入るけど、僕に合わせてくれればいい。怖がらなくていいよ、父は優しいから」

「……」

菅野望月は苦笑いを浮かべた。

優しい?

都内全域で知らない者はいない、賀川様が若い頃から気が短いことを。まるで自分を三歳児だと思って騙そうとしている。

「賀川先生、私そんなに馬鹿に見えますか?」菅野望月は軽く鼻を鳴らした。