菅野望月は完全に呆然としていた。
彼女が必要?
「つまり……」
「あの時のことだ、責任を取ってもらわないと」
菅野望月は黙り込んだ。
自分が彼に借りがあるのだから仕方ない。
「家族を納得させるため、誰か必要なんだ」賀川洵は説明した。
「他にも選択肢はあるでしょう」
私じゃなくてもいいはず。
「周りの女性は、ほとんど家族が知っている」彼の周りには女性が少なく、親戚以外は事務所のスタッフくらいで、ほとんどが既婚者だった。
「私が適任だと?」
「家族は君を知らないし、それに君は度胸がある」
「……」
菅野望月は歯を食いしばった。「先輩に見つかったらどうするの?」
「家族には秘密にさせる」
彼女にはこんな約束は怖くて受け入れられなかった。それに、彼女は元々賀川洵に弱かった。もしこのまま深みにはまってしまったら、きっと抜け出せなくなる。結局、賀川洵は自分に対して……