「おじいちゃん?」
賀川洵は頭痛に眉間を揉みながら考えた。家族や親戚の中で、礼と同世代の者たちは結婚して子供を持つ者も少なくなく、正月などの時期に「おじいちゃん」と呼ばれることはあったが……
江口晗奈の進展は早いものだ。
「菅野お嬢さんとの進展はどうですか?」礼が何気なく尋ねた。
「後輩が目上の私事を詮索するのか?」
「結婚式の席次で、もう一席用意するべきか考えていたんです」
「……」
「今の様子を見るに、必要なさそうですね」
賀川洵は平然とした顔をしていた。
あの日、旧邸から彼女を送り届けて以来、菅野望月には会っていない。
焦る必要はない。賀川家旧邸の室内デザインの仕事がもうすぐ始まるし、彼女と会う機会はまだまだある。
礼がこんなに詮索好きなわけではない。全ては祖父から与えられた任務だった。
老人は反抗的な息子の恋愛の進展を切実に知りたがっていたが、賀川家の他の者たちは誰も尋ねる勇気がなく、父は自分と叔父が幼い頃から仲が良いからと、彼を押し出したのだ。
彼が【愛を守る】グループでメッセージを送信した。
【@賀川様、叔父の方は、まったく進展なしです】
賀川様:【やっぱりな。あいつは役立たずだ】
【晗奈と樱庭先生を見てみろ。私はいつになったら孫か孫娘を抱けるんだ】
グループ内の四人の孫たちは呆然とした。
つまり、私たちは孫として見られていないということか。
礼は叔父のことにそれほど気を取られていられなかった。樱庭家と岸許家の顔合わせが迫っており、岸許家は親族が少ないため、彼が出席するのは当然だった。
それに従姉が妊娠中で、二つの会社の要職を兼任しており、適任者が見つからず、すべてが彼の肩にかかってきた。
妊娠三ヶ月未満で、外部には体調不良としか公表していない。
しかし業界では噂が飛び交い、岸許大婆様が会社の経営を賀川礼に任せるつもりだと言われていた。
結局は実の外孫だからだ。
樱庭家が縁談の準備をしているという話だが、江口晗奈が嫁ぐ以上、会社を親族の外孫に任せる方が、他人に渡すよりはましということだろう。
【岸許家はやはり樱庭家を警戒しているようだな】
【そうでなければ何だ。岸許氏が改名して所有権が移るのを黙って見ているとでも?】