菅野望月は窓を見つめたまま数秒間呆然としていると、二宮一鳴が心配そうに尋ねた。「どうしたの?具合でも悪いの?」
「大丈夫です。送ってくれてありがとう」
「当然のことだよ」
「仕事のことで、これからも二宮兄にお世話になります」
「もう随分親しくなったんだから、そんなに遠慮しなくていいよ」二宮一鳴は笑顔で彼女を見つめ、お湯を沸かすのを手伝おうかと尋ねた。
彼の気持ちは、菅野望月にはよく分かっていた。でも彼は一度も告白したことがなかった。
「明日はクリスマスだけど、何か予定ある?」
「退院して、家に帰るだけ」
「盛山若社長の家に?」
「先輩には迷惑をかけたくないんです」
「夜は一人?よかったら僕が付き添おうか?」
菅野望月は微笑んで、「私たちは同僚関係です。男女二人きりというのは、適切ではありません」