350 小叔母を奪おうとする人がいて、賀川さんの腹黒さ(2話)

菅野望月は以前アクセサリーを身につけていなかったため、湯川千秋は何気なく尋ねただけだった。

「ただの普通のネックレスです。服に合わせただけで」彼女は気まずそうに笑いながら、セーターの中からペンダントを引っ張り出した。

盛山文音と賀川礼は軽く一瞥しただけだった。

綺麗だと思っただけだ。

しかし盛山家の者たちは皆彼女を注視していた。プロは見所を知っているのだ。

「そのネックレスの天然の黄翡は、品質が非常に良く、ダイヤモンドも天然だ」盛山庭川が評価を下した。「なかなかいい」

「どこで買ったの?」

菅野望月は微笑んで、「海外のジュエリーショップで、綺麗だと思って買ったんです。掘り出し物だったみたいですね」

話している間に、湯川千秋は彼女に箱を渡した。開けてみると、クリスマスにぴったりな可愛いりんご型のピアスだった。赤と緑の宝石で飾られており、一目で高価なものだとわかった。「おばさま、これは受け取れません」

「遠慮することないでしょう」

「私も持ってるわ」盛山文音は自分の耳を指さした。母からもらったもので、すでにつけていた。

盛山庭川は率直に言った。「受け取りなさい」

菅野望月は断りきれず、ピアスを受け取るしかなかった。

食事の間、話題は盛山文音の結婚のことばかりで、菅野望月は静かに聞いているだけだった。結婚後の住まいの内装の話になって初めて、湯川千秋は菅野望月に向かって言った。「うちの旧邸の室内デザインは急いでないから、あなたの怪我が治ってからでいいわ」

「怪我は大したことないです。ずっと家にいても退屈なので」

「仕事がしたいなら、賀川洵に連絡を取りなさい」

盛山家旧邸の設計図は全て彼が持っている。

菅野望月は賀川洵を見て、「では賀川先生にご迷惑をおかけすることになりますね」

「どういたしまして。用事があれば事前に連絡してください」

言外の意味は:

いつでも時間があるわけではない、ということだ。

盛山庭川は呆れた。これは自分の師妹なのに、賀川洵のやつ、調子に乗りすぎじゃないのか。

賀川礼は叔父を見た:

随分と気取っているな!

不思議なことに、恋敵が現れたと聞いてから叔父の顔色が悪かったのに、たった一晩で明らかに状態が良くなっていた。

恋敵を片付けたのか?

それとも菅野お嬢さんを落としたのか。

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