349 プレゼント、好きすぎて困っちゃう

盛山家旧邸

盛山庭川は賀川洵を見ても、それほど驚かなかった。旧邸の改修工事のため、彼はすでに家の常連となっていたからだ。菅野望月が驚く間もなく、湯川千秋に手を握られていた。

「うちの寧ちゃんを助けてくれて、本当は病院にお見舞いに行くべきだったのに、私の体が言うことを聞かなくて...」湯川千秋は重い風邪を引いており、声がかすれていた。

「大丈夫です。それに毎日お弁当を作っていただいて、申し訳ありません」

「そんな他人行儀な言い方はやめてちょうだい」

盛山家の双老は彼女と話を続けた後、庭川に彼女を部屋まで送らせた。

賀川洵はもともと庭川と話をしていたので、自然と二人と一緒に歩いた。

盛山文音も一緒に行こうとしたが、叔父が行くのを見て、命の恩人のために自ら料理を作ると言って、キッチンに飛び込んだ。

長老たちの視線から離れると、庭川は尋ねた。「今日はクリスマスだろう。女の子を追いかけずに、うちに来て何をするんだ?」

「問題ない」

「随分と自信があるな。一体どんな娘が、お前の目にかなうのか見てみたいものだ」

「安心しろ、付き合うことになったら必ず知らせる」

「今日はデートに行くと思ってたよ」

「仕事が大事だ」

菅野望月は沈黙モードに入った。

部屋に入るやいなや、庭川の携帯が振動し、会社からの電話を受けて出て行こうとした。賀川洵に目配せをして、「書斎に行ってくる。月ちゃんの荷物整理を手伝ってやってくれ。彼女は手が不自由だから」

賀川洵は黙ったまま、その表情は少し不満そうだった。

庭川は呆れて「頼むよ、後で飯おごるから」

「それなら」

「...」

菅野望月は完全に固まってしまった。

本当に上手く演技するものだ!

庭川が去ると、賀川洵は振り返ってすぐにドアに鍵をかけた。菅野望月は眉をひそめ、「何をするの?」

「どうだと思う?」

賀川洵が話しながら一歩一歩近づいてきて、菅野望月は病院にいた時よりも緊張した。彼女は後ずさりし、ふくらはぎがベッドに当たって体がぐらつき...

そのままベッドに座り込んでしまった。

次の瞬間

賀川洵は数歩で彼女に迫り、両手をベッドの端に置いた。彼女の呼吸が止まりそうになり、彼の視線の中で、彼は更に近づき、息が彼女の唇に触れそうになった。