375 賀川洵：お前が触れたものは汚らわしい（2/2）

「退職？」

林昊洋は手が震え、茶碗を床に落としてしまった。

「賀、賀川先生？どういう意味ですか？退職？なぜ私を辞めさせるんですか？何か間違いでもしましたか？」

賀川洵は茶碗を持ち、口から立ち上る湯気を吹き消した。

「どう思う？」

林昊洋は体の横に置いた両手を強く握りしめた。「もし大会のことでしたら、確かに先生に相談せずに勝手な判断をしてしまい、申し訳ありません。でも説明させてください」

「あの時、本当に菅野望月が先に盗作したと思い込んでいて、先生のためを思って…」

「助手として、当然先生の心配事を解決するのが私の仕事です。彼女が先生の成果を盗むのを、ただ見ているわけにはいきませんでした」

「私のしたことは、すべて先生のためなんです」

賀川洵は冷ややかに笑った。「私のため？そんな重荷は耐えられないね」

「賀川先生、これまでの何年間、私は一生懸命働いてきました。先生の利益を損なうようなことは一度もしていません。こんな些細なことで私を解雇するんですか？」

「あなたの目には、これが些細なことに見えるのかね？」

賀川洵は手の中の紫砂茶碗をなでた。

「私が事前に準備していなかったら、あなたは協会に彼女を即座に追放させようとしたんじゃないのか？彼女の将来を潰そうとしたんだろう！」

彼の声は急に冷たくなった。

林昊洋は自分を落ち着かせようと努めた。「そんなつもりはありません。でも彼女が本当に盗作したのなら、追放されても当然です」

「数年前はどうだった？」

「彼女がまだ研修助手だった時、あなたは私の助手という立場を利用して、いじめ抜いた。これも彼女が当然受けるべき仕打ちだとでも？」

賀川洵は指に力を入れ、手の中の紫砂茶碗を林昊洋の足元に投げつけた。茶碗は砕け散り、彼の眉間には怒りが宿り、目には氷のような冷たさが満ちていた。

「それは彼女が分を弁えなかったからです！」林昊洋は歯を食いしばった。

「まともに仕事もせず、ただ可愛い顔を武器に事務所の男たちを手玉に取っていただけです」

「それだけならまだしも、先生まで誘惑しようとして、先生のベッドまで這い上がろうとしました」

「げほっ——」林昊洋の言葉に、お茶を飲んでいた秋月策人はむせた。

この未来の叔母さんは本当に……

大胆すぎる！

叔父さんのベッドに潜り込もうとしたって？