鈴木最上は今や頭を抱えていた。
通報は部屋番号まで具体的に指定されており、この件は恐らく本物だろう。
一体どのバカが、下半身を抑えられないんだ?
もしこれが大事になれば、結婚式も行われていないのに、帝都中の笑い者になってしまうだろう。
18階に着いた時、警察官はホテルのマネージャーの協力のもと、すでにドアを開けていた。少し離れた場所から、中から女性の悲鳴が聞こえてきた。
「……何をするんですか?早く出て行ってください!」
「売春の通報を受けました。身分証明書を出してください」警察官は事務的に言った。
「何?売春?間違っているんじゃないですか?私が誰だか分かっているんですか?」男性の声が響いた。「私たちは恋人同士です」
「まずは身分証明書を出してください」
二人はもごもごしながら、身分証明書を出そうとしなかった。
警察官が強い態度を示し、ようやく二人は身分証明書を出さざるを得なくなった。
賀川礼は入り口に立ち、鈴木最上に中を確認するよう指示した。
部屋に入るとすぐに、床に落ちたセーラー服や、いくつかの大人のおもちゃが目に入り、鈴木最上は目が潰れそうになった。
くそっ——
こんな変態プレイまで。
女性は布団に包まって顔も見せようとせず、男性の方は警察と話し合っていて、恋人同士だと主張していた。
「これは金子若様じゃありませんか?」この人物を、鈴木最上は知っていた。
男は鈴木最上を見て一瞬固まり、そして言った。「鈴木助手、警察に一言お願いします。私は彼女と付き合っているんです。売春なんてありえません」
警察官は鈴木最上を見て、真偽を確認するような目つきをした。
鈴木最上は頷いた。「確かに彼には恋人がいます。それに年明けに婚約する予定です」
「お相手は松本家のお嬢様です」
「松本?」
警察官は手にした女性の身分証明書を鈴木最上に見せた。「この人ですか?」
鈴木最上は一目見て:
目の前が真っ暗になった!
確かに松本姓だ!
でも彼の恋人じゃない!
警察官は詳しく聞かなかったが、鈴木最上の表情で察したようで、ただ「服を着て、署まで来てください」と言った。
「警察官、本当に売春じゃないんです……」金子若様はどう説明しても、二人の関係を証明するものを出せなかった。
LINEの履歴や写真など、何でもよかったのに。