鈴木最上は今や頭を抱えていた。
通報は部屋番号まで具体的に指定されており、この件は恐らく本物だろう。
一体どのバカが、下半身を抑えられないんだ?
もしこれが大事になれば、結婚式も行われていないのに、帝都中の笑い者になってしまうだろう。
18階に着いた時、警察官はホテルのマネージャーの協力のもと、すでにドアを開けていた。少し離れた場所から、中から女性の悲鳴が聞こえてきた。
「……何をするんですか?早く出て行ってください!」
「売春の通報を受けました。身分証明書を出してください」警察官は事務的に言った。
「何?売春?間違っているんじゃないですか?私が誰だか分かっているんですか?」男性の声が響いた。「私たちは恋人同士です」
「まずは身分証明書を出してください」
二人はもごもごしながら、身分証明書を出そうとしなかった。