399 見世物（5）名声を失い、公開処刑

盛山文音は自分の兄を見た。

兄が小箱を贈ったことは知っていたが、中身は知らなかった。

このブレスレットはなかなか良さそうだ。

兄は本当に気前がいいんだから！

盛山庭川は自分の助手に目配せをした。

ずっと傍で見ていた山下助手は即座に駆け寄り、強引に松本咲良の手首からブレスレットを外した。「これは我が盛山若社長が自ら設計したブレスレットです。あなたなんかに相応しくありません！」

彼はブレスレットを奪うと、ステージを降りた。

松本咲良の面子は、完全に地に落ちた。

松本雨音は数秒間呆然としていた。

このブレスレットは、盛山若社長からの贈り物だったのか？

てっきり……

彼とはそれほど親しくないのに、こんな高価な贈り物は受けられない。

しかし、皆の注目は松本咲良という泥棒に集中していて、ブレスレットの価値についてはあまり気にする人はいなかった。ただ松本家の次女が本当にろくでもない人間だと思うだけだった。

ビデオで脅迫し、

パジャマで自慢し、

アクセサリーを奪おうとし、

……

本当に悪事の限りを尽くし、吐き気がするほどだ。

「雨音さん、今日のことは、隼人が申し訳ありませんでした」金子奥様も言い訳できず、息子に目配せして謝罪させようとした。

しかし松本咲良は耳を引き裂かれて泣き叫んでおり、彼は彼女に心を奪われていて、母親のことなど気にも留めず、ただ「母さん、僕は確かに松本雨音のことは好きじゃない。咲良が好きなんです。僕たちを認めてください！」と言った。

「バカ者、何を言っているの！」金子奥様は平手打ちを食らわせた。

今日、金子家は完全に面目を失った。

この松本咲良は場末の女にすぎない。

彼女はあの小娘を八つ裂きにしたいほど憎んでいた。どうして二人を認めることができようか。

「母さん、お願いです……」

事ここに至って、金子隼人はもう隠そうともしなかった。

松本雨音は苦痛に満ちた表情で「隼人さん、そういうことなら、あなたたちの幸せを祈りましょう」

そう言いながら、たった今署名した婚約書を取り上げ、あっという間に数片に引き裂いた。「今日の婚約式は取り消します。妹さんとの末永い幸せをお祈りしています！」

賀川野は低く笑った。「売女と犬、確かに末永く続くでしょうね」

突然、皆が笑い出した。