「手はどうしたの?」松本雨音は彼の手の甲が真っ赤になっているのを見て、テーブルの上に散らばった水跡と湯気の立つコップに気づいた。「火傷したの?」
「大丈夫だよ、少し火傷しただけだから」
「少しって?」松本雨音は両足の痛みも忘れ、彼の手首を掴んで洗面台まで連れて行き、冷水を出して彼の手を当て、水で何度も洗い流した。
室内は暖房が効いていて、彼女はロング丈のニットワンピースに着替えていた。ミルクホワイトの生地から覗く細く白い足首が、不安そうな表情と相まって印象的だった。
「どうして気をつけないの?もう子供じゃないのに」
「お正月明けの仕事に支障が出たら大変だわ」
……
松本雨音は彼の手の甲の火傷で赤くなった大きな範囲を見つめ、眉をひそめた。二人の距離がどれほど近いかにも気づかず、ただ彼の声が耳元で響くのを聞いていた。「雨音」