450 襲いキス、魅了され、君が欲しい……(2更)_2

「盛、盛山若社長、近すぎます」松本雨音は胸が高鳴っていた

息ができないかのように。

手を伸ばして彼を押しのけようとしたが、指が彼の胸に触れた瞬間、彼に掴まれてしまった。「あの夜、君はそんな風に呼ばなかったよね」

「盛山兄」松本雨音は早く逃げ出したくて、自然と従った。

「それで、君はどんなタイプが好きなの?」

「私は...」

「よく考えて答えて」

彼の視線は真っ直ぐで熱を帯びており、彼女を見つめていた。穏やかな瞳の奥には、激しい潮流が渦巻いているようだった。

松本雨音は適当にごまかそうと思ったが、彼の視線に動揺して、うまく言葉が出てこず、歯を食いしばって尋ねた。「私がどんなタイプが好きかって、あなたに関係あるの?」

どうせ、彼は自分のことを好きじゃないのだから。

その言葉に盛山庭川は胸が苦しくなった。

賀川洵の言う通り、彼は強がりを言う頑固者だった。

彼が気持ちを明かさないのも、恐れがあったからだ。松本雨音の心を読み取れず、拒絶されることを恐れていた。彼女は最近クズな婚約者を振ったばかりで、松本家の問題もまだ片付いておらず、祖母の世話も必要で、新しい恋愛を始める余裕がないかもしれないと心配だった。

恋愛の前では、いつも恐れを知らなかった彼も、少し臆病になっているようだった。

ただ、彼女を見つめる人が確かに多くて...

危機感が湧いてきた。

そして今日の突発的な出来事で、彼は突然気付いた:

自分は松本雨音が少しでも傷つくことも、自分から離れていくことも、全く受け入れられないのだと。

特に今の松本雨音のこの一言が、彼の琴線に触れたようだった。

いつもの理性と自制が、一瞬にして、

崩れ去った!

松本雨音の手は今、彼に押さえられて彼の胸に密着していた。彼女は慌てて手を引こうとしたが、彼は別の腕を上げ、長い腕を伸ばして、軽々と彼女を抱き寄せた。

次の瞬間、

彼女は彼の胸に倒れ込み、心が乱れた。顔を上げて何をするのかと聞こうとして、「盛山...」

その「兄」という言葉は口から出る前に、二人の唇の間に埋もれてしまった。

唇の距離が消えた。

周りの空気が一瞬で抜け出したかのようだった。

薄くなって窒息しそうなほど。

松本雨音の頭の中で雷が炸裂したかのように真っ白になり、唇の熱さだけが、どんどん熱くなっていくのを感じた。