「盛、盛山若社長、近すぎます」松本雨音は胸が高鳴っていた
息ができないかのように。
手を伸ばして彼を押しのけようとしたが、指が彼の胸に触れた瞬間、彼に掴まれてしまった。「あの夜、君はそんな風に呼ばなかったよね」
「盛山兄」松本雨音は早く逃げ出したくて、自然と従った。
「それで、君はどんなタイプが好きなの?」
「私は...」
「よく考えて答えて」
彼の視線は真っ直ぐで熱を帯びており、彼女を見つめていた。穏やかな瞳の奥には、激しい潮流が渦巻いているようだった。
松本雨音は適当にごまかそうと思ったが、彼の視線に動揺して、うまく言葉が出てこず、歯を食いしばって尋ねた。「私がどんなタイプが好きかって、あなたに関係あるの?」
どうせ、彼は自分のことを好きじゃないのだから。
その言葉に盛山庭川は胸が苦しくなった。