481 謎めいた帝都西部栄田家、勝負はまだ決まらず(2)

今日は名士や権力者が多く集まっており、誰も一介のボディーガードなど気にも留めなかった。

賀川凌介もその時彼らを見かけ、軽く頷いて挨拶を交わした程度だった。

「あいつ、どうかしてるんじゃないの?暇なの?社長として事務所でお茶飲んでスマホいじってればいいのに、ボディーガードなんて疲れるだけじゃん。何考えてるんだろう」賀川野は眉をひそめた。

賀川礼はいつもの無表情で弟を見て、「お前が黙ってれば、凌介がボディーガードをしていることなど誰にもわからない」と言った。

賀川野は軽く鼻を鳴らしながら、スマートフォンを取り出して数枚写真を撮った。

周りの人々は彼が女優を撮影していると思い、特に気にも留めなかった。

すぐに盛山家の者たちが到着した。

珍しいことに、昏睡状態の盛山庭川を除いて全員が来ていた。湯川俊夫は冷たい表情で、誰も声をかける勇気がないほどだった。