471 補償、青さが誘う(2)

秋月策人は信じられなかった。ドアの前まで来ているのに、まだ人に会えないなんて。

彼は思い切って腕を組んで廊下で待っていた。ボディーガードも手の施しようがなく、強制的に追い払うこともできなかった。

この秋月家の若旦那は何て……

厚かましいんだ。

会わないと言われているのに、まだ帰らないなんて。

ビジネスパートナーになれるかどうかは気にしていなかったが、何度も断られることで挫折感を感じていた。秋月策人は馬鹿じゃない、この家の若旦那が自分に対して明らかに敵意を持っているのが分かっていた。

あれこれ考えてみたが、両家は付き合いもなく接点もない。いつ彼を怒らせたというのだろう?

しかし、人はもう帰ったと告げられた!

秋月策人は腹を立て、挫折感を覚えながら個室に戻り、食事を続けようとしたが、テーブルはすっかり片付けられていた。