駐車場
山下助手は自分の上司を見て、二回咳をして、「ただ抱きかかえて上がるだけですよ。今どき男女の間柄なんて気にしないでしょう。松本さんが目を覚ましても、責任を取らせたりはしないはずです」
盛山庭川は指を強く握りしめ、「お前がこんなにおしゃべりだとは知らなかったな」
「それなら」山下助手は考えて、「彼女を起こしましょうか」
「あるいは車の中に置いておいて、このまま寝かせておくか」
盛山庭川は何も言わず、松本雨音のいる車の側に回り、山下助手は自然と脇に下がり、若社長が身を乗り出してシートベルトを外すのを見守った。
体の拘束が解かれたせいか、松本雨音は少し体を動かし……
そのまま外側に倒れかけた。
「あっ—」山下助手は眉をひそめ、彼女が落ちるのを心配した。
彼が注意を促そうとした時、若社長がすでに彼女の背中を支え、もう一方の手を膝の下に回し、少し力を入れただけで、彼女を車から軽々と抱き上げるのを目にした。