彼女がこれを用意したのは、松本雨音が妊娠しないようにするためだった。
もし田中社長が本当に彼女のことを好きになって、子供まで出来てしまったら、将来的な脅威になりかねない。
「松本奥様、あなたが私にこれを渡したのは、私と関係を持ちたかったからでしょう?今さら知らないふりをするのは遅すぎませんか?それに、さっきはあなたも楽しんでいましたよね……」
「この畜生、でたらめを!」
羽沢彩乃は彼に殴りかかろうとした。
しかし田中社長に押しのけられ、「私は今日、松本さんとお見合いに来たんです。もし私たち二人が結ばれていたら、あなたは義理の母になるはずでした。どこの義理の母が婿にそんなものを用意するんですか」
「私は……」
羽沢彩乃は完全に言い訳が出来なくなった。彼女は夫の方を向いて、「和彦、私を信じて、事態は決してそうじゃないの」