439 いわゆる緑雲の天蓋、奇妙な盛山若社長(2話)

秋月家の若旦那?

彼女が自分を断ったのは、秋月策人との約束があったから?

松本雨音は今や巨額の財産を持ち、美人で、以前婚約していたとはいえそれは彼女の過ちではなく、そばには体の弱い祖母がいるだけで、彼女を狙う男は多かった。

金子隼人は松本雨音が自分のことを好きだと思い込み、近くにいる利点を活かそうと考えていた。

しかし思いもよらず……

秋月策人が横やりを入れてきた。

親切にも車のドアを開けてあげるなんて?まさか彼も松本雨音に目をつけたのか?

そうなると自分には勝ち目がないじゃないか?

一瞬のうちに、

突然、緑雲の天蓋に覆われたような感覚に襲われた。

彼女は自分のことが好きだと言ったはず?なぜ他の男と目配せし合っているんだ?彼女の好意は本物なのか偽物なのか?

手に持ったバラの花を握りしめ、歯を食いしばった:

ダメだ!

松本雨音は俺のものだ。

——

秋月策人にはそんな機微はわからない。彼は松本雨音にそういう気持ちは全くなく、純粋に興味があっただけだ。二人は道中、投資や株の話で盛り上がっていた。盛山文音が彼女に会った時、まさにその話の最中だった。

「松本さん、内部情報があるんですが、この株は年明けに必ず上がりますよ!」

「私の持っている投資商品もかなり良いですよ。」

「もし不安なら、うちの会社に投資してください。私がリソースを提供し、あなたが資金を出す。必ず利益が出ますから。」

……

周りの人々は頭を抱えて眉間をさすった。

賀川礼は呆れて:

こいつ、わざわざ迎えに行ったのは、若い女性の金を騙し取ろうとしているんじゃないだろうな。

「松本さん、彼の言うことは聞かないでください。ただの詐欺師ですから。」盛山文音は松本雨音の手を引いて座らせた。

秋月策人はその言葉を聞いて目を剥いた。「お義姉さん、それは聞き捨てなりませんよ。何が詐欺師ですか。私は百年に一人の商才の持ち主だと言われているんです。松本さん、無料で投資のアドバイスをしますよ。一緒にやりませんか?」

「さっさと消えろよ。もう樱庭家というスポンサーを掴んだんだから、innocent な女の子は放っておけ。今は景気が悪いんだ、お金を稼ぐのは簡単じゃない。むやみな投資は控えめにな。」誰かが忠告した。

松本雨音は微笑むだけだった。