盛山庭川は彼女の唇を押さえつけ、深く入り込むことはなかったが、そのまま密着しているだけで、彼女の心臓は激しく鼓動した。
松本雨音は心臓の鼓動が乱れ、顔は真っ赤に染まった。
軽いキスだけで、盛山庭川が少し身を引いた時、額を軽く寄せて言った。「今夜予定ある?」
「ないわ」
「まだ何回か食事を奢ってもらうことになってるよね」
「覚えてるわ。営業が早く終われば、食事に誘うって」
「うん」
松本雨音は車から降りた後も、全身の血が騒ぎ、心臓の鼓動が収まらなかった。
ちょうど山下助手がコーヒーを持って戻ってきて、彼女にコーヒーを渡そうとしたが、彼女は急いで走り去った。それを見て眉をひそめ、社長に不思議そうに尋ねた。「松本さん、どうかしましたか?なんだか様子がおかしいですけど」
「どこがおかしい?」盛山庭川はコーヒーを受け取り、一口飲んだ。