盛山庭川は彼女の唇を押さえつけ、深く入り込むことはなかったが、そのまま密着しているだけで、彼女の心臓は激しく鼓動した。
松本雨音は心臓の鼓動が乱れ、顔は真っ赤に染まった。
軽いキスだけで、盛山庭川が少し身を引いた時、額を軽く寄せて言った。「今夜予定ある?」
「ないわ」
「まだ何回か食事を奢ってもらうことになってるよね」
「覚えてるわ。営業が早く終われば、食事に誘うって」
「うん」
松本雨音は車から降りた後も、全身の血が騒ぎ、心臓の鼓動が収まらなかった。
ちょうど山下助手がコーヒーを持って戻ってきて、彼女にコーヒーを渡そうとしたが、彼女は急いで走り去った。それを見て眉をひそめ、社長に不思議そうに尋ねた。「松本さん、どうかしましたか?なんだか様子がおかしいですけど」
「どこがおかしい?」盛山庭川はコーヒーを受け取り、一口飲んだ。
「なんというか...」山下助手もコーヒーを開けながら、「いつもの冷静で落ち着いた感じじゃないような気がして」
「僕が告白したからだよ」
コーヒーを飲んでいた山下助手は思わず噴き出しそうになった!
信じられない様子で自分の社長を見つめた。「いつの話ですか?私は知りませんでしたよ?」
「盛山若社長、本当に黙ってやるんですね」
「前回はまだ好きじゃないって言ってたのに、もう告白したんですか。彼女はどんな反応でしたか?承諾したんですか?」
盛山庭川はコーヒーカップを触りながら、「承諾はしなかったけど、拒否もしなかった」
「彼女は絶対あなたのことが好きですよ」山下助手は確信を持って言った。
「どうしてわかる?」
「彼女の物事への対応を見ればわかります。金子隼人に対しては表面的な対応で、彼の件を処理する時は容赦なかった。彼女の性格なら、好きじゃなければ、その場ではっきり言うはずです」
盛山庭川はコーヒーを飲みながら、彼の言葉に口角が上がった。
「山下君」
山下助手は返事をした。
「前回の昇給はいつだった?」
「2年前です」
「今年また昇給させよう」
山下助手はこの言葉を聞いて、すぐに笑顔になった。
以前、社長が賀川さんと会った時、鈴木最上と話したことがあった。鈴木最上は社長夫人ができたら、良い日々が来ると言っていた。
なるほど...
これが社長夫人のいる生活なんだ!
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