453 領地侵入、何度もキスを重ねて

松本雨音は馬鹿じゃないので、盛山庭川が金子隼人に警告を与えたことを察していた。彼女にとってはいいことだった。あのクズ男が豚の脳みそじゃなければ、もう自分に関わってこないはずだ。

とはいえ、今夜の食事は当然、盛山庭川の奢りだった。

食事が終わる頃、ウェイターがデザートを運んできた。松本雨音が一口食べたところ、キャラメル塩のムースで、独特な食感だった。そのとき携帯が振動し、なんと湯川俊夫からの電話だった。

彼女は思わず向かいの人を見て、黙っているように合図した。

立ち上がってから窓際に移動し、「湯川叔父」と声を出した。

「まだお店にいるの?」

「いいえ...」松本雨音は近くにいる盛山庭川を横目で見ながら、「家にいます」

「近々時間ある?」

「何かご用でしょうか?」

「うちで食事をしないかと思って。おばあさんも呼んで。一人で家にいるのは心配だろう」