ファイルの中の紙には、多くの写真が印刷されていた。写真の画質から年代を感じさせるもので、そこには羽沢彩乃と様々な男性との写真が並んでいた。
露出の多い服装で、媚びを売るような姿勢。
背景から見ると、八十年代か九十年代のナイトクラブのようだ。
「まさか、不倫相手だってことは知ってたけど、ホステスだったなんて」
「若い頃は派手に遊んでたんだな」
「松本和彦は知ってたのかな?」
「多分知らなかったでしょう。当時の松本家は金も権力もあって、松本家の両親は体面を重んじる人たちだったから、ホステスを嫁に迎えるなんてありえないはず」
……
人々が口々に噂する中、羽沢彩乃は顔色を変えた。
松本雨音がこんなものを持っているとは思いもよらなかった。三十年近く前の写真が、よくも見つけられたものだと、彼女は地面から立ち上がり、「偽物よ、写真は合成!」と叫んだ。