489 大芝居(8)一緒に地獄へ、家で待ってる

町田克純は突然、すべてを失うことに気づき、賀川礼を見つめた。「いつから私のことを疑っていたんだ?」

「親族会食の後からだ」

「何?」

「お前という人間には矛盾点が多すぎる。能力があるのに婿入りを甘んじて受け入れ、たとえ人に軟飯を食うと嘲られても、なお深情な人物を演じ続ける。だが、本当に盛山漱花を愛していたのか?」

能力のある者が野心を持たないのは、稀だ。

特に盛山家の肩に乗って、高みからの景色を眺めたからには。

どうして山の麓に甘んじていられようか。

賀川礼は冷笑して言った。「私の調査によると、お前たちは結婚してこれだけ長い間、その大半を別居状態で過ごしていた。これが所謂の愛とは思えないな」

「それとも、盛山漱花が事故に遭って初めて、彼女から離れられないと気づいたのか?」