町田克純事件の後、盛世全体が混乱に陥り、さらに栄田家との資金調達も行わなければならず、盛山庭川はこの期間、休む暇もなく、昼夜を問わず忙しい日々を送っていた。
一方、松本雨音は、やっと外出できるようになり、祖母に会いに行く以外は、ほとんどの時間を療養院で祖母と過ごしていた。
二人は同じ屋根の下に住んでいても、時には一日中顔を合わせることもできなかった。
そして松本雨音の休息を邪魔しないように、二人は別々の寝室で寝ており、雨音が起きる頃には、彼はすでに会社に出勤していることが多かった。
「明日の夜、食事の約束がある」その日、盛山庭川は早めに帰宅して言った。「栄田家の人と提携の話をする予定だ」
「うまくいくといいわね」
「一緒に来ないか」
「え?」松本雨音は以前、父親に頼まれて何度か食事会やパーティーに参加したことがあったが、退屈で面白くないと感じていた。