496 男に感じてしまうなんて、きっと狂ってしまったのだろう

盛山文音は自分の夫が変だと思った。秋月策人が殴られたのに、友人として笑えるなんて。でも、深く考えなかった。もう夏に入り、天気は乾燥していて、お腹が大きくなってから、体が一層重く感じられた。

夜眠れず、香房に行って香玉を作っていた。

賀川礼は隣に座って、仕事の処理をしていた。携帯が振動し、秋月策人からのメッセージだった:

「賀川さん、どうすればいい?」

「喧嘩のことが秋月爺ちゃんにバレた?」

「爺ちゃんは知らない」

「じゃあ……」

「爺ちゃんに知られるのが怖くて病院に行けなかったんだ。そしたら……彼が私を家に連れて帰った」

賀川礼は低く笑った。「それで?」

「賀川さん、なぜかわからないけど、彼に見られると背筋が寒くなるんだ。一応言っておくけど、もし連絡が取れなくなったら、警察を呼んでくれ」