彼はベッドに横たわり、寝返りを打ちながら眠れずにいた。
どうやら、彼の心の中で、栄田锦が他の人とは違うということを理解し始めていた。
彼は行動派で、頑固ではなかった。思い立ったら即実行するタイプで、かつて江口晗奈を追いかけた時も派手に行動し、フラれても潔く、だからこそ賀川礼とも友人になれたのだ。
きっと、そういう人が一人いるものなのだ。
性別も年齢も関係なく、ただ心がときめいてしまう人が。
その人と一緒にいると、なぜか嬉しくなる。
離れると寂しくなる。
その人の声を聞くだけで、心が躍る。
この感覚は、江口晗奈に対してさえ感じたことがなかった。
そして22時過ぎ、彼は賀川礼に電話をかけた。
「賀川さん、大変なことになった!」
「何があった?」
「もう終わりだ。爺さんは伝統的な人間だから、きっと俺の足を折るぞ」
賀川礼は低く笑った。「どうした?まさか誰かを妊娠させたとか?」
「いや、そういうことじゃない」
「こっそり結婚したとか?」
「それもない」
「じゃあ何を怖がってるんだ」
「俺は...たぶん誰かを好きになってしまった」
……
翌日、彼は賀川礼と会った。「一晩考えて、自分の気持ちを確かめたのか?本当に考え抜いたのか、一時の気の迷いじゃないのか?」
「絶対に一時の気の迷いじゃない」秋月策人は断言した。「誰を好きになったのか、気にならないのか?」
賀川礼は黙って眉間を押さえた。彼には予想がついていた。
先日、秋月様が彼の家を訪れ、祖父と茶を飲みながら旧交を温めた時、賀川福来と賀川星奈を見て、秋月策人がまだ独身で彼女もいないことを嘆いていたからだ。
その時、祖父が「策人は最近何をしているんだ?」と尋ねた。
秋月様は「最近は栄田家の息子とよく一緒にいるようだ」とだけ答えた。
賀川礼も馬鹿ではない。自然と察することができた。
どうやら最初から、秋月策人は栄田家の彼に特別な関心を持っていたようだ。そして前回の警察署での出来事で、賀川礼は気づいた。彼は恐らく、数年前に秋月策人が酔って失態を演じた時の当事者だったのだろう……
それはもう4、5年前のことだった。
おそらく、
酔っていても、正気でも、彼の審美眼は変わらなかったのだ。
好きになった人も、
同じ一人だったのだ!
これこそが縁というものではないか。