秋月策人番外（7）恋心、喜びも悲しみも彼次第

その後の数日間、秋月策人は見合いで多くの女性と会ったが、話が合う相手もいたものの、特別な感情は芽生えなかった。

むしろ、栄田锦がしばらく戻ってこないことで、イライラが募っていた。

桑原助手は明らかに社長の最近の不機嫌に気付いていた。普段は楽天的な性格で、めったに不機嫌になることはなかったのに、突然ため息をつき、死んだような雰囲気を漂わせ、仕事にも細かいことを指摘するようになり、部下たちの不満を買っていた。

「若様、本日は栄田氏の代表と面会の予定です。」

これまでの商談では、秋月策人は必ず出席していた。

しかし今回は手を振って、「行かない」と言った。

「でも、今回は栄田若様が出席すると言っていました。」

すると、桑原助手は社長が瀕死の病人のように突然起き上がり、枯れ木に春が来たかのように、満面の笑みを浮かべるのを目にした。「本当か？」

桑原助手は頷いた。

そして、

社長がオフィスの個室に直行し、中で身支度を整え、シャワーまで浴びて、清潔な服に着替えるのを見た。

桑原助手は呆れ果てた。

社長、これは商談であって、見合いじゃないんですよ！

秋月策人は上機嫌で、会議室に早めに到着し、コーヒーを飲みながら鼻歌を歌っていたが、栄田氏の代表が到着すると、栄田锦ではなく栄田易真が向かいの主席に座るのを見た。

「なぜお前なんだ？」秋月策人は眉をひそめた。

「兄さん、久しぶり」栄田易真は笑顔で挨拶した。

秋月策人は眉を上げ、横の助手を見て、「所謂栄田若様というのは、こいつのことか？」

桑原助手は無言で天を仰いだ。

その後、秋月策人は容赦なく攻め立て、栄田易真は交渉テーブルで泣きそうになり、直接電話で助けを求めた。「兄さん、助けて！もう死にそう。」

「どうした？」

「秋月策人は人間じゃない、僕をいじめてる。」

「電話を代わってくれ。」

栄田易真は携帯を持って、急いで向こう側に行き、携帯を投げた。「兄さんからの電話だよ。」

「お前の兄がどうした？これは交渉の場だ。相手が俺の実の親父でも、手加減はしない。」秋月策人は強気な言葉を吐いた後、電話を受け取り、咳払いをして「もしもし」と声を出した。「何の用だ。」

桑原助手は眉をひそめた：

なんてこった、声が甘ったるくなってるじゃないか！